かめきちOpaがオールドレンズで撮った秋の気配の“カリガネソウ”

2020.09.14 Monday

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1.動植物の名前を学術的に記述するときには片仮名で書くことになっているので、“カリガネソウ”と言う難しい花の名前が出てくる。“カリガネソウ”は「借金草」ではなくて、「雁が音草」である。

鳥の名前は鳴き声から名付けられることが多い。古代人は雁の鳴き声が「カリ、カリ・・」と聞こえていたらしくて、雁を「カリが音(カリガネ)」と名付けた。ところが、時代が下がって室町時代頃になると雁の鳴き声は、庶民に浸透していた阿弥陀如来の本願思想に通じる「ホンガン、ホンガン・・」と鳴いていると思われるようになって、雁を「ホンガン(本雁)」と言うようになったらしい。実際にyoutubeで雁の鳴き声を聞いてみると、確かに「ホンガン、ホンガン・・」と聞こえる。

 

“カリガネソウ”の雄蕊は、雁(カリ)の首のように長く半弧を描いて花弁に覆いかぶさっている。構造上でポリネーターは蝶々ではなく、大型の花蜂である。花蜂が花弁に留まると、頭上の雄蕊が花蜂の背中に覆いかぶさって花粉を擦り付ける仕組みになっている。古代の日本人は長い雄蕊を雁(カリ)の長い首に見立てて、“雁が音草(カリガネソウ)”と名付けたらしい。

 

2.“カリガネソウ”は日本以外では中国大陸や朝鮮半島も自生地と言うので、中国最大のWeb百科事典(百度百科)で調べてみた。中国では“カリガネソウ”を」と書き、唇形科叉枝蕕屬種であることが分かった。 但し、記述量は極めて少ないので観賞植物ではないのかも知れない。

莸(ちゅう)」は現代中国では使われなくなった文字で、「悪臭」とか「悪者」と言う蔑んだ意味である。

“カリガネソウ”は不思議な姿をしていて、可憐だと思うのだが、葉に刺激を加えると亜硫酸ガスのような不快な臭がするとの理由で、庭の花壇には不向きと言われることがあるらしい。

葉の悪臭は、鹿などの動物から食べられないようにしている防御策である。太古の時代には動物が好んで食べていた美味な餌であったのが、絶滅を恐れて後天的に獲得した専守防衛手段なのであろう。

今回の撮影に際して、葉の匂いを直近で嗅いでみた。雨上がりの湿った空気の影響なのか、それとも、そもそも鼻の性能が弱いのか、悪臭は全く感じられなかった。残念と言うか、ホッとした。

 

 Carl Zeiss SL Distagon 1.4/35で撮った過去ログ:

 

撮影場所:東京都内新宿御苑の里山(環境省は“カリガネソウ”を絶滅危惧種のカテゴリーに入れていないが、野生生物調査協会(NPO法人)は東京都、埼玉県、神奈川県で絶滅危惧1種、千葉県で準絶滅危惧種に指定している。全国的にも既に半分が準絶滅危惧種、絶滅危惧種になっている)

撮影に使用したオールドレンズ:Carl Zeiss Distagon 1.4/35 (二眼レフメーカーのRollei有限会社が1969年から市販した一眼レフのRolleiflex SL35シリーズ用の初期型交換レンズ。絞り羽根が9枚もあるのに、絞って行くと、開口部が三角形になる不思議な構造をしているので、F2.8以上では末尾のBlog画像のように点光源が三角おむすび状になって現れることがある)《ID 271